私達の事務所のある銀座周辺には実にいろんなギャラリーや展示会場があります。
このあいだ、日比谷パティオにて、オランダのアーティスト、テオ・ヤンセンの展示があり遊びに行きました。
作者が「生命体」と呼ぶ作品達は風を受けることでひとりでに歩き出します。
下の写真の「生命体」は体長13m、体重が100kg強、高さが4.7mほどあるのですが、風が吹くと羽を羽ばたかせ、その動力で上部に付いているペットボトルに圧縮空気を溜め込み、いっぱいになるとそれが逆流し、そのエネルギーで歩きだします。会場で動くところが見れるのですが、ものすごい迫力で、肝を抜かれました。



使われている素材はいたってシンプルで、構造体となる配管用のビニールパイプ、それらを接合するために使う木のダボ栓や紐、ゴムなど、身近で手に入るものばかりです。配管用のビニールパイプはオランダのホームセンターでだいたい15円/mで手に入るそうです。



それらで自転車のクランクのようなクランク軸を組み、クランク軸にトラス状の「足」を繋いだものが基本的な構成です。
動きが大変秀逸で、トラス状の足は馬の足に着想を得たらしいのですが、例えば足首より下の部分を良く見るとアキレス腱の部分にひもが張られており、うまく動きに遊びを作ってあったりします。
そんな細部の積み重ねがあって、本当の動物かのような関節の動きをします。


デモンストレーションで動かす事ができる「生命体」もあり、私も動かしてみましたが、25kgほどの重さのものが指一本でいとも簡単に歩き出します。風速で言うと2km/hほどの風で動いてしまうそうです。
下の写真がそうですが、BMWのコマーシャルで使われていたので見た事がある人も多いと思います。ちなみにこいつは空気を溜めておく能力はありません。



配管材料をアーティスト自身が1本1本手で曲げて組んでいくので、作りは結構荒いです。しかし、「生命体」というからにはある種の大らかな作りが非常に良い相性でした。ただしコンピューターによる力学的解析は非常に入念になされているようです。


ハイブリッドなのか、退化なのか、ある意味捉えどころのない作品です。しかし、展示会場にいる人を見ると大人も子供も、ほとんどの人がすごいはしゃぎ様で、すごく楽しそうだったのが大変印象的でした。
そして環境問題等の最近の潮流と併せて捉えてみると、作者も示唆しているように、どことなく進化の可能性も感じました。
アーティストのホームページやyoutubeなどでも動画を見る事ができますので是非ご覧になってみて下さい。

(chiona)

admin (2009年4月15日 23:58) | コメント(0) | トラックバック(0)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.sugiura-arch.co.jp/cgi-bin/mt5cms/mt-tb.cgi/208

コメントする

2012年12月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
↑
つぶやく